5000円の融資申込み

　ちょっと趣を変えて、昔の経験したことを少し話して見たいと思います。
私が融資受付のカウンターに座っていると、背中に幼子をおんぶして、そしてもう一人３歳位の女の子の手を引いた３０歳～３５歳位の女性が見えました。
　
　一目で生活に疲れている感じは判りました。「お借入の申し込みですか？」と聞くと「少しでいいです貸していただけるでしょうか」金額を聞くと「５０００円でいいんです。必ず返しに来ます。」といいました。

支店長に相談したところ返す見込みのない先にはたとえ１円でも貸せない。どうしても貸したいなら自分のお金を貸しなさいと言われた。

　「正論である。」２０代の未熟小僧だった自分は、自身のお金を貸すか、それとも融資を断るか正直悩んだ。もう随分昔のことなので、融資は断ったことは確かだが。どうも自分を美化したい記憶もあるようで、お礼を言われた気がして１０００円を紙幣袋に入れて差し上げたような？
　
　あの頃給料も安くて１０００円をあげるだけの勇気が自分の財布の中身に入ってなかったような・・・
　
　格差社会と最近言われ、経済学者さんが文壇でも議論は賑やかであるが、
２０～３０年前まで女性が一人で子供を抱えて生きてゆくのは大変な時代があったことも事実である。
　
その当時支店の融資の窓口で自分より年齢が２～３回りも上の社長さんと話ができる環境にあったことは、すごく大きな経験になっているし、若かりし驕りもあったことも今は恥ずかしく思うこともある。

　２００６年　バングラデシュの『グラミン銀行』のムハムド・ユヌス総裁がノーベル平和賞を受賞した。貧しい農民の女性たちを対象に無担保で少額の貸付をし,多くの女性たちの社会参加を援助した。同銀行は６６０万人に貸付をし、９８％の返済されるという驚異の実績を残しているという。

この記事を読んだとき昔の記憶がふと思い出され、ちょつと書いてみたくなりました。


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